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書き溜めているモノをここに紹介…。とはいいましても、フラフラと書き連ねているモノです。

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オヤジの臭い

※これはvol.14を書く際…書き始める際に、一つのシーンとして稽古場に持っていきました。
私は「匂い」にビンカンではありません。けれど、「匂い」が好きです。「匂い」の意味を、考えれば考えるほど、想像すれば想像するほど、沢山の「匂い」が見えてくるからです。そこで、このSceneから考え始めようとしていました。ですが…
このSceneの台本を見せたとたん、なんと! 男性役者達から悲しいほどのブーイングの嵐。
「匂い」がこんなに「嫌だ」というものになるなんて…
ちょっとショックでした。もっと男性陣がおじさんになるまで、こんな発想はお蔵入りってやつです。
素敵だと思うんだけど…
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オヤジの匂い

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二人の男、遠くからのったりくったり登場。タオルを持っている。

マサ  おまえだろ
太一  何いってんだ、お前だって
マサ  いや、お前だ
太一  お前です。
マサ  一緒にするな
太一  こっちこそ、お前みたいなやつと一緒にするな
マサ  ほら、やっぱりお前だ
太一  いや、お前だって、ここ、ここ
マサ  どこだよ
太一  ここ、ここから臭う
マサ  バカいってんじゃないよ、どこからも臭いません。
太一  腐った匂い
マサ  俺のは薔薇の香り
太一  バカいってんじゃないよ。
マサ  バカじゃないよ
太一  どこが薔薇だ
マサ  ほら、かいでみろ
太一  かぐかよ、バカか
マサ  薔薇、バカじゃない。ほら、な、嗅ぐか?
太一  俺のは…桜…春の香り
マサ  ばか、お前のはイチョウだ
太一  なんだ?
マサ  腐った銀杏
太一  げ、気持ち悪、秋だな~
マサ  ここ、嗅いでみろ
太一  嗅がないよ
マサ  嗅げよ
太一  嗅ぎません
マサ  お前、ここから臭う
太一  お前、ここ
マサ  うわ、くさい
太一  バカじゃないの?
マサ  嗅いでみろ
太一  なんでくさいのかがにゃならんの
マサ  臭いからだろ
太一  バカ
マサ  なんだと
太一  鼻がバカ
マサ  バカの鼻
太一  鼻がバカの方がいいな
マサ  バカはバカだからな
太一  な
マサ  ん?
太一  ほら
マサ  ん?
太一  な
マサ  …(だんだん笑う)
太一  (一緒に笑って)なんだろな
マサ  なんだ、これ
太一  お前のがイチョウ、銀杏
マサ  なんだと、お前のはあれだ
太一  なんだよ
マサ  アレだよ
太一  なんだよ
マサ  梅、あの腐った梅
太一  やっぱり腐ってんのか
マサ  うわ…
太一  うわ、そのリアクション、死ぬな
マサ  死ぬ、死ぬ
太一  これなんだ
マサ  生きている証拠だ
太一  なんだそれ
マサ  しまっておけ
太一  これ?
マサ  箱にでも入れて埋めておけ
太一  梅の香りを埋めておけ…か
マサ  あ…
太一  いうねぇ
マサ  タイムマシン
太一  何が
マサ  箱にでも入れてさ…ほら
太一  バカだな
マサ  なんだよ、バカバカって
太一  マシンじゃない
マサ  は?
太一  箱、機械じゃない、ただのタイム
マサ  屁理屈
太一  んあ?
マサ  いいんだよ、タイムマシンで
太一  付ける薬なし
マサ  お前のそういうところ、嫌い。偉そうに…だからもてないんだよ~
太一  お前のそういうところ、嫌い。いちいち細かい…
マサ  細かいのがいいんだよ
太一  なんだよ、チマチマ上げ足とりが
マサ  足上げてっからだろ
太一  あげてません、あげてません
マサ  バカが
太一  うわ、臭い
マサ  お前こそ、臭い 

マサ  なんか、これさ…
太一  なんだよ
マサ  オヤジの匂い…これ
太一  イチョウ
マサ  銀杏
太一  梅
マサ  腐った梅
太一  オヤジってやつは…
マサ  …すごいやつだ… 

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