Home > 公演履歴 > vol.19 〜ソトへ〜
一覧 | 01 02 03 04 05 06 07 08 09 10 11 12 13 14 15 16 17 18 19 20 21 22 23

vol.19 〜ソトへ〜

vol.19チラシ

マスコット

2012年11月15日(木)~18日(日)
ミニシアター1010にて

 
 

「夢を見てるか?」
なんだかコソバユイ質問。
「は?」って冷たくあしらって答える。
普通の夢を見るのは嫌だ
夢らしい夢を見よう
汗ダクダクになって目が覚めた
なんでこんなに汗をかいたのか
今となっては分からない

空気ノ機械ノ尾ッポのボウケン活劇?!
どうぞ、お楽しみに!!

挨 拶 

今回は「夢」がテーマです。

私達が夢を見ているのか?

みなさんに夢を見させてるのか?

夢にもイロイロあるけれど、これが「いい夢」になるか、「悪夢」になるか…

どんな夢でも夢は夢。

「今の子は夢を見なくなった…」そんな事言う奴がいるが、そんなバカな事があるわけない。

夢がなくなる訳がない。

寝たら必ず夢を見る。

ただ忘れてしまっているだけらしい。

いつまでたっても夢を見てる大人達が、ドタドタバタバタと皆様を、夢の世界へ誘いましょう。

目を開けたまま見る夢はどんな夢になるやら… 私達の夢の思いが少しでも届いてくれたなら、これ幸いです。

空気ノ機械ノ尾ッポ座長 原 寿彦

 


 

資 料 

今回の作品は、「夢」の話です。
「夢」というのは、たった一人で体験するもので、誰かと共有出来る「思い出」とは違う。
誰かに話したくなるようなわかりやすい出来事であれば、少しは関心をひけるが、「夢」の多くは誰かに話してもなんの興味も持たれないほどの不可思議な事がある。

 

小さい頃から見ていた不思議な夢がある。
知らない場所で「どこだろう…」と思っていると、その場がまるでテレビ画面を見ているかのようになり、その画面に黒い毛糸のような糸がヒロヒロと入ってくる。まるで昔の8mm映画に挟み込まれたほこりや髪の毛が映っているかのような…あの「ヒロヒロした黒い線」。やがて、その糸はグルグルと蠢き始め、回転し、ダマになっていく。怖くなって周囲を見渡すが、見る方向、見る方向にその黒い糸がやってくる。すべての視野を黒い糸に覆われそうになっていく。音も臭いも無い世界。この夢が怖くて怖くて、泣いて叫んで起きる。原因は今になっても分からない。この夢は何の前ぶれもなく、周期も無く、忘れた頃に突然見せられる。何かに追われているから見るのか、何かに否定されているように思うからなのか、様々な精神的な「何か」を探すけれど、この夢を見る理由はちっとも分からない。誰かに話したところで共感も得られず、「怖かった〜」と言ったところで「あ、そう」と流されるのがオチ。結局、何が怖いのか全く分かっては貰えない。

 

以前、友人が夢の話をしてくれた。その友人の夢にはテディベアが必ず登場するという。これに気がついたのは中学の頃だったらしい。そのテディベアはごく普通のテディベアで、そいつが夢に登場すると、その時の登場人物達と、必ず決まって大笑いするという。けれどその夢は楽しい夢ではなく、悪夢だ。大笑いしすぎて、辛くなり、ヒキツケを起こし始め、泡を吹き、白目を剥き、最後には血を吐いて死んでしまう…というものだ。大笑いしながらも、またあの恐ろしい光景がやってくるという恐怖を知っているから笑ってはいけないとは思うのだが、だからこそ笑うことを止められず、最後には死んでしまう結末を迎えようと言うときに恐ろしくなって起き上がるという。なぜテディベアで大笑いしたのかは定かではない。怖い夢だがおかしな夢だ。共感は出来ない。けれどその話を聞いている間、友人とずっと笑っていた。一体何が面白いんだと二人で笑った。「テディベアでものすごく笑う」状況がトラウマになるって…と想像すると二人で笑った。やっぱり共感するのは難しい。話した友人は本当に嫌そうに「きっと今夜はテディベアの夢を見るに違いない」と言っていた。

 

きっと多分、皆さんにもあるんじゃないだろうか…人に言っても分かって貰える事の無い「夢」が。

 

おかしな夢と空想は似ている…
私には、空想が先へ進み読み切れないでいる本がある。そのうちの一冊がMichael・Endeの「鏡の中の鏡」。長編30の小説が詰まっている。けれど、この本を読み始めて1ページも終わらないうちに、空想が別世界へ飛んでいく。どこまで読んだか分からなくなって ちょっと前に戻って読み返す。また、あっという間に飛んで行く。だからまた、少し前に戻って…。これこそ「果てしない物語」。一冊の本の枠を越えていく。この空想は、「夢」に近い。常識なんて無く、その書かれている内容がグニャグニャとねじ曲がっていく。こうなったら面白いのにとか、こうなったら恐ろしいなどの目的や思考があって想像しているわけではないから、ただただ風景が変わっていき登場人物は走って行く。
これらの空想や不可思議な夢は、何のために見るモノなのかは分からない。けれど、自分の中にある「何か」であって、それを自分は理解出来ていないものなんだろう。そんなものが自分の中にある。つまり、隣の他人にもある。そしてその隣の人にも…

 

今回、エンデの書籍「鏡の中の鏡」を元に…と言いたいところですが、この書籍を読んだときに飛んで行った空想の先を元にしています。ですので「可哀想なホル」は出てきません。あしからず。
何冊かの書籍から引用している背景があります。とはいえ、その背景というのも読んだときの私の空想でしかありません。もしかお分かりになるようでしたら嬉しい限りです。

 

空気ノ機械ノ尾ッポvol.19~ソトへ~は、舞台上にある「枠」を中心にいくつものシーンの羅列で繋がっていきます。全ては枠の中 での出来事で、外へと藻掻く「夢」の中のお話し。夢の中 のお話しだから、シーンは断片的に続いていきます。

途中、お客様に挑戦していただくこともあります。何卒、よろしくお願いいたします。
どうぞ、楽しんでごらんください。

 

そしてどうぞ、恐ろしいほどに楽しい夢をご覧いただけたなら幸せ至極にございます。

著:松川晃子

 

 
 

 


公演概要 

2012年11月15日(木)~18日(日)
ミニシアター1010にて

※11月18日(日)15:00の会=★キッズデー

作・演出 クウキノキカイ
出演 空気ノ機械ノ尾ッポ
原 寿彦 / 松川晃子 /高橋清彦 / 今 愛美 / トガミキタ / 大数みほ /
小春 / 桜 拳之助(劇団KIII) / 桜 春斗(劇団KIII) / 松永直子 / 溝田朋代
Stuff 照明:神矢紀子 / 宣伝美術:井手口智人
音楽:高橋清彦 / 音響:前田真宏
舞台監督:小菅良隆 / 衣装製作:宮田佳奈
制作:空気ノ機械ノ尾ッポ

写真:林 亮太