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vol.18 ~ナリモノ~

vol.18チラシ

マスコット

2012年1月25日(水)~29日(日)
中野テアトルBONBONにて

 
 

寒い寒い冬の夜、男は、見知らぬ男に声をかけた。
これはただの偶然か、それとも星の導き…運命ってやつなのか?
そんな大仰な話ではありません。ただの挨拶。
男の行く道の真ん中で、じっと突っ立ってる男がいた。
あまりに晴れた冬の空の下、星の話なんぞ ちょいとして別れた。
次に見かけたその見知らなかった男は、銀紙を服に貼り付けてそこにいた。
お話しはここから始まります。
 

挨 拶 

 

この寒い中、お越しいただきありがとうございます。

今回の公演、目に見えない敵が沢山おりました。『年末年始』『インフルエンザ』『人の心』…これは手強い! まぁ、なかなか倒せない…。しかし、これらの困難を乗り越え、最高の場所を目指す『わちゃ~~!!!』っと西遊記の気分です。天竺はなかなか見えない…。『見えた』と思ったら、又消えて、『あと少し』と思ったら遠くになって…。それでも前へ前へと進み続けるしかない。こうやって、共に進んだ者達だけが見る事の出来る『景色』ってものを、『天竺』っていう奴を、皆様にお見せできたなら、幸せ至極にございます。

一緒に『天竺』行きましょう!

行くか、行かぬか迷っている時間はございません。

ま、乗りかかった船と諦めて…さぁ、行こう! はい。

座長 原 寿彦

 

 

 

 

参考資料作品について

 

● キリン座(麒麟座、Camelopardalis)について

北極星のすぐ脇にあるキリン座。日本では一年中見ることが出来ます。けれど、4等星以下の明るい星ではないので東京では肉眼では見つけづらいものです。1624年にドイツの天文学者ヤコブス・バルチウスが設定した星座ですが、実際はその11年前にネーデルランド(現在のベルギー、オランダ、ルクセンブルグ)の天文学者ベトルス・プランシウスが天球儀に描いていたという。バルチウス自身は『旧約聖書』に出てくるアブラハムの息子イサクの所へ美しい未来の妻リペカを運んできたラクダ(創世記25章)の姿を想像し『ラクダ座』としたのですが、ラテン語のラクダ(Camelus)とキリン(Camelopardalis)が似ていたために混同されて、17世紀後半のポーランドの天文学者ヤン・ヘベリウスの星図にはキリンが描かれています。

さて、このキリン座、実際の夜空で探すには… こぐま座と、冬の天頂近くに輝くぎょしゃ座の0等星カペラの間の大きな範囲に横たわる星座です。広い星域に4等星以下の星がパラパラと散らばっている上にペルセウス座との境界あたりを冬の銀河が流れているため微光星も多く星を結んでキリンの姿を想像するのは、なかなか大変かもしれません。北極星とカペラを結んで、その真ん中あたりにあるお腹の星を探し、そこから丁寧にたどってみてください。星図に示されていない頭の星は5.3等星です。

私は星座に纏わる伝説は好きなのですが、オリオン座以外の星座を見つけることが出来ません。オリオン座以外はどれもこれも北斗七星にしてしまいます。今回の作品を書くにあたり、一度はキリン座を見つけたい!と思いました。資料を持って群馬の山上にある合宿所ならきっと見つけることが出来るだろうと行ってきました。が、しかし…キリン座を探すのは至難の業です。当たり前ですが、プラネタリウムとは訳が違う。大きな光の矢印で「この星とこの星を繋ぐと、キリン座です」なんて教えてくれる素敵なガイドもありません。まずこぐま座が見つからない…あまりに星が見えすぎて、一番光るカペラをもどれだか分からない…。途方に暮れ、冬の寒空の中、沢山の北斗七星と自分のキリン座を作って遊ぶことになりました。私には見つかりませんでしたが、いえ、今度こそは見つけようと思いますが、皆様もどうぞ一度このキリン座を見つけてみてください。先にも書きましたが日本では一年中見ることが出来るものです。夜空にいるキリンはずっといつでも日本を、私達を見続けているのです。

 

 

● ナリモノ について

舞台を賑やかに囃し立てるため、このような楽器の伴奏を入れることを「鳴り物入り」というように、「鳴り物」とは、歌舞伎で使う太鼓や笛などの楽器のことをいいます。

今回、このタイトルにしようと題材にしたのは『小拍子(こびょうし)』というものです。「演劇なのだから拍子木なんじゃないの?」と思われる方もいらっしゃるかも知れませんが、『小拍子』です。

これは講談や上方落語でよく使われる物で、小さな拍子木です。小さな角材で二本一組、18mm角、長さ10cm程度のものです。

通常は、「見台」の上に一本置かれており、鳴らすときは左手で小拍子を持ち、見台を打ちます。噺の合いの手などに使ったり、雰囲気を変えるために使ったり、舞台の袖でお囃子や鐘の音など効果音を出す裏方に合図を送るためにも使います。前座の若手が、調子をとって小拍子を打ち鳴らしながら口上を述べて客を集める用途もあるそうです。講談も上方落語も、元々は路地などに座り、机などを置き、大道芸やバナナの叩き売りのように、音などを出して人を集め、噺をしていたそうで、見台や小拍子などはその名残だそうです。

実際にこれを見たのは幼少の頃、学校に来た講談師の方のお話しを聞いた時でした。その時、何故か学校行事でありながら怪談話をしており、あの小拍子が鳴る度に体育館を壊すかの勢いで小学生達の悲鳴があがりました。いったい何の話だったか、今はもう分かりませんが、あの場面の変わる度、登場人物が怖い思いをする度に鳴る小拍子の音は、まるで魔法の杖の様に、悪魔の嘶きの様に、目の前の景色を一変させていったのを覚えています。その講談師の去った後はと言えば、そりゃ~もう、先生だろうが生徒だろうが声を張り上げては机を叩いてみたり、黒板を叩いてみたりと、大流行でした。

この芝居、物語が走りゆくに併せ、視野が変わる度、思考が進むにつれ、小拍子が打ち鳴らされます。

この音が、皆様の生活の中、ちょっとした驚きや、ちょっとした発見に、鼓動の鳴る音と共に打ち鳴らされますように…

 

公演概要 

 

2012年1月25日(水)~29日(日)
中野テアトルBONBONにて

作・演出 クウキノキカイ
出演 空気ノ機械ノ尾ッポ

高橋清彦(CLEO) / 川合将嗣 / 今 愛美 / 栂 みき太 /

河内拓也(劇団ステア) / 田中宏明

Stuff 照明:池田圭子 / 宣伝美術:井手口智人

音楽:高橋清彦 / 音響:前田真宏

舞台監督:小菅良隆

演出助手:鯉渕加奈子 / 衣装製作:宮田佳奈

制作:空気ノ機械ノ尾ッポ