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vol.14 ~ハセル~


マスコット

2009年9月24日~27日
東京公演 中野 ザ ポケットにて

 

10月16日~18日
群馬公演 桐生市有鄰館 味噌・醤油蔵にて

群馬県桐生市有鄰館演劇祭 蔵芝居’09 参加公演

 

薄暗い時間、じっと目を懲らす。天井の木目がだんだん妙な怪物の目に見えてきた…壁のシミから何か出てくる気配を感じる。そこに誰かいるんじゃなかろうか?巨大な、それとも、凶悪な、それとも…誰か。いや、人じゃない何か…かも。その何かに会いたくて、遭遇したくて、遭遇してしまうんじゃないかと思って、薄闇の中、目を懲らす。そんなオハナシ。

「ハセル」は、昔話や民話のように作られていきます。

vol.14チラシ

挨 拶 

 

私の家のまわりには橋が多くあります。自転車で橋を渡る。ゴーゴーと風が吹く。向かい風には腹が立つ。強風には怒りすら覚え「馬鹿野郎!」と叫びまくることもある。しかし、窓から入ってくるそよ風に気持ちよさを感じる。桜吹雪には感動し、満員電車のオヤジの吐息には激怒する。風は勝手に吹く。放っておいても勝手に吹く。今回の題材が「風の又三郎の風」と聞いて、「風」ってなんだ?と思った。これまで気にも留めなかった「風」。強風にでもならなければ気にならない。 ほんの少し気にしただけで、沢山の事を貰える。何とも思っていなかったものにこんなにも感じさせられた。 だから、思う。 感じられない訳がない。 今よりもっと感じて欲しい。少々諦めかけている事が馬鹿馬鹿しい。思っているよりももっと感じられるはず…。何をする? 何をしたい? もっともっとすごい事を…出来ない訳がない。すごい事をしたい、感じさせる事をしたい。それが「感動」という言葉なら、「大感動」して欲しい。

思いは募るばかり。「感じてもらう」と決めた。だから、感じて欲しい!

空気ノ機械ノ尾ッポ 原 寿彦

 

 

舞台風景

 

殺風景に思えるような倉庫のような風景から、創造していく様を考えました。たくさんの段ボールを組み合わせ、大きなオブジェを立ち上げます。

 


 

 

台本抜粋

Scene「再会」より

邪魔する者 いきなり掴みかかってくるな

四谷    いや、あんたのセイで怒鳴られたんだ

邪魔する者 怒鳴られた?

四谷    あんたが何考えているのかわからんから、あんたと同じ事やったらどなられた。おどろいた、焦った、びっくりした、…

邪魔する者 なにやってんだ、お前

四谷    あきれるなよ、こっちだって、あきれるよ。

邪魔する者 だろうな

四谷    なんだよ、だから、なんだよ。

邪魔する者 五月蠅いな、俺のセイにするな

四谷    五月蠅いな、お前が何やってんだかわからんからだろ

邪魔する者 なにいってんだ、○○が

四谷    教えろ、○○!

邪魔する者 五月蠅い、五月蠅い、五月蠅い!

四谷    今更 反抗期か?

邪魔する者 このやろ、バカにするな!

四谷    …バカにするよ、バーカ

邪魔する者 なん…

四谷    なんだよ、なんだ?教えろ、教えろって!

邪魔する者 わからんでいいんだよ、こんなこと。

 

 

参考資料作品について

 

●  風の又三郎」(宮沢賢治 著)

私は宮沢賢治の作品が嫌いです。読むと胸の奥がヒンヤリとしてきて、まるで乗り物酔いになったような状態になります。何故かは未だによく分かりません。なのに、タイトルにはとても惹かれるのです。「風の又三郎」「注文の多い料理店」「ドングリと山猫」「セロ弾きのゴーシュ」などのタイトルには、強い力を感じます。タイトルを見ると目まぐるしい程に様々な想像が出来るのです。たとえば、「セロ弾きのゴーシュ」なら、セロを何かも分かっていないゴーシュという男が、嘘八百を並べてセロという楽器を作り上げ、空想で弾いている様子を見せ、名人とまで噂を広め、遠方から「セロ弾きのゴーシュの演奏を一度聴きたい」という人々がやってくるが、「そう簡単に弾いては名前が廃る」とかいっちゃって、その場を逃げるんだけど、このままではイカンと奮起して、架空のセロを実際作り出し猛練習して最高のリサイタルをする話しとか…タイトルだけでそんな勝手な想像をしてしまう。宮沢賢治の言葉の選び方なのかも知れません。その言葉の目まぐるしさに乗り物酔いになるのかもしれません。もう一つ嫌いな点は、「美しい」からです。今回、最後に引用した宮沢賢治の言葉の全てをここに残します。私は小学生の頃、一度同じ文章を読んだのですが、その時とそう変わりのない違和感をもちます。この違和感は何だろう…。言葉が丁寧すぎるから?それとも、出てくる単語が今のもので無いから? たぶんきっと、この人は『「こうあって欲しい」と願いつつも「そうではない」と信じている』ように私にはとれるのです。「本当に」と書かれたところに「願い」が込められているように思えてならないのです。「美しい」という言葉が偽りにとれてしまうーこれが、もう一つの嫌いな点です。「私には馬が合わない」という事でしょうか…

今回、中でも一番好きなタイトル「風の又三郎」を選びました。それは、賢治自身の本当の郷土愛に肖りたかったからです。物語はその場所に更なる思いを募らせてくれます。 

著・松川晃子

 

 

記 録 

群馬公演は東京公演に出演していた役者が二名、諸々の事情で(こういう場合、たいがい「諸々の事情」といいますが…詳細はご勘弁ください)出演しないことになりました。そのため、群馬バージョンでは二人の役者が二役を演じ、一人の役者は役所を変え、台本上に登場していた「別の女」の役は消えました…。全てを“口上”という形で説明することにしました。そんな苦労の末、STAFFからは「前より分かりやすく面白くなった」などなどの感想をいただき、ちょっとした不本意感を持ちながら東京公演から一掃新たな「ハセル」が群馬公演で登場する事になりました。下記の内容は群馬公演にて登場した口上です。

口上1 本日はご来場くださいまして、誠にありがとうございます

口上2 さて、御見物の皆々様、これより始まるお芝居に少々ご迷惑なさることでございましょう。

口上1 我が儘な作者の戯言で皆様にはご迷惑をおかけいたします。何とぞ、ご了承を…

口上2 このお芝居の登場人物は11名、そのウチの一人、五木という男が出て参ります。

口上1 作者が言うには、この五木という男 誰かであって誰かでない、傍観者であって、当事者であり、それは観客皆様であって、作者自身だともう言う。

    決して「誰か」であってはならないと…そして必ず「人」でなくてはならないとも…。

口上2 これには一同困り果て、試行錯誤の毎日を暮らし、飲み続けて胃を壊し、頭が朦朧としたその時に出来た策がこちらでございます。

口上1 何人もの役者が代わる代わる五木を演じるのは混乱の元。ですので代表としてこの二人が五木の役を勤めさせていただきます。

口上2 顔を隠すために帽子を、そしてこの時代遅れのジャケットを着けたとき、五木の役を演じます。

口上1 今はこちらが五木となります。

口上2 この役者は六坂という役も演じます。この二人、他の役も演じます。つまり一人二役演じますので、どうぞご注意を…

口上1 今はこちらが五木。そしてこいつは六坂を演じます。

口上2 この帽子、このジャケットを着けた際には、何とぞ、その男五木だと思し召せ。

口上1 なにぶんしばらくご迷惑のほどを…やがて全ては明々白々と相成るはず…のはず。何とぞ、宜しくご了承の程、お願いいたします。

口上2 さて…もうしばらく、もう間もなく開演いたします。携帯電話や音の出る物は、電源を切っていただけましたか?はい…準備が整ったようです。 それでは皆様、空気ノ機械ノ尾ッポvol.14~ハセル~開演いたします。

 

 

公演概要 

2009年9月24日~27日
東京公演 中野 ザ ポケットにて

東京バージョン

24日(木)19:00~

25日(金)19:00~

26日(土)15:00~★キッズデー 19:00~

27日(日)16:00~


10月16日~18日
群馬公演 桐生市有鄰館 味噌・醤油蔵にて

 ※群馬県桐生市有鄰館演劇祭 蔵芝居’09 参加公演

桐生バージョン

16日(金)18:30開演

17日(土)18:30開演

18日(日)17:00開演

蔵芝居の詳細はこちら


作・演出 空気ノ機械ノ尾ッポ
出演 原 寿彦 / 松川晃子 /境 田博美 / 宮路 央

宮路 央 / 清水里枝子 / 堀田祥子 / 米澤成美 / 青木由美

   高橋清彦(CLEO)/ 川合将司(ドリームフォープロモーション

   森田 学(ムシラセ69)

Stuff  照明:池田圭子 / 宣伝美術:井手口智人

音楽:高橋清彦 / 音響:仙浪昌弥

舞台監督:小菅良隆

美術協力:松澤貴代 / 宣伝協力:伊藤乃理恵

制作:空気ノ機械ノ尾ッポ

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 



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